イージースラブ橋の概要
簡単な加工(孔あけ)を施したH形鋼を並べて架設し、下フランジ間に桁下面型枠を設置し、腹板(Web)に設けた孔に横繋鉄筋を通してその両端をナットで留め、桁上面鉄筋等を配置して桁間にコンクリートを打設して橋体を築造する複合構造(SRC構造)の橋梁です。
【構造種別】SRC橋(鉄骨鉄筋コンクリート橋)
構造イメージ図
- 1. 拘束鉄筋
桁上面鉄筋との共同作用で、桁上面コンクリートがハクリしない様にすることを目的として設置した鉄筋です。付加的にずれ止めとしての機能も有しています。 - 2. 桁上面鉄筋
- 3. 桁下面型枠
スギ間伐材を残存型枠として利用できます。 - 4. スペーサー鉄筋
- 5. 主桁(H鋼材)
死荷重(自重)や活荷重(自動車荷重等)を支えて下部工に伝えることを目的に設置したH鋼桁で、上部構造の主体となるものです。 - 6. 横繋鉄筋
H鋼桁のウエブに設けた孔にこの鉄筋を貫通させ、その両端を端桁のウエブにナットで留めた後、橋体コンクリートを打設します。橋軸直角方向の断面力に対してこの横繋鉄筋と桁上面鉄筋が主鉄筋として働きます。 - 7. 定着ナット
- 8. エアー抜き孔 (拘束鉄筋貫通孔兼用)
- 9. 地覆コンクリート
- 10. 舗装・防水層
- 11. 橋体コンクリート
並列したH鋼桁を一体化させ、橋梁として機能を持たせることを目的に打設するコンクリートです。
適用条件
支間長 | 5~20m程度 |
斜角 | 90°~ 60°(条件により45°まで可能) |
平面形状 | 直橋、斜橋、バチ形橋、隅切部を有する橋梁(枝桁)にも対応可能 |
橋梁種別 | 車道橋、歩道橋、農道橋など |
構造形式 | 単純桁構造、連続桁構造、ラーメン構造(イージーラーメン橋) |
工法の特長
1. 単純な構造
- 橋軸方向は、H鋼桁断面を鉄筋断面に換算し、RC断面として考えて設計しているので構造が単純です。
- 橋軸直角方向は、横繋鉄筋と桁上面鉄筋を主鉄筋とし、RC断面として応力度の検討を行います。
2. 低桁高を低コストで実現
- 低桁高の橋梁を低コストで実現できるので、都市部などでの低桁高が求められる箇所での橋梁に適しています。
3. 多様な平面形状に対応
- 交差点付近の橋梁によく見られる複雑な平面形状(台形や隅切りなど)に対応可能です。
4. 狭小箇所での施工
- H鋼材を主桁として使用しているので、桁重量が軽量であり、桁の取扱いが容易です。
- 狭小箇所での施工や架設現場までの道路事情が比較的悪い場合などに対しても適用性が高い工法です。
5. 分割施工
- 分割施工が可能であるため、現道交通を切り替えながら施工することにより、迂回路や仮橋を省略することができます。
建設コストや周辺環境への影響を最小限にすることが可能です。
6. ミニマムメンテナンス
- H鋼桁には溶融亜鉛メッキやアルミ亜鉛溶射などの耐久性の高い防錆方法を採用しているので、
メンテナンス費用が少なくて済みます。 - ジョイントレス構造が採用可能なため、建設コスト及び維持管理コスト縮減、走行性向上、支承周りへの漏水がなくなることによる耐久性向上などの効果を得られます。
7. 鋼桁を再利用(reuse)できます
- 既設橋や仮設橋で使用されていた鋼桁(H形鋼)をイージースラブ橋の主桁として再利用できます。
- 今までスクラップ処理されていた鋼桁をイージースラブ橋の主桁として再利用できるので、
コスト縮減や環境負荷の低減にもなります。
施工フロー
安全性検証実験
荷重横分配効果確認試験
平成15年8月
金沢大学工学部にて
荷重分配試験状況
(中央載荷)
荷重分配試験状況
(偏心載荷)
破壊試験
繰り返し荷重載荷(200万回)試験
繰り返し荷重載荷試験後の実験桁を用いた破壊試験
平成16年8月
茨城県つくば市にて
実験桁製作状況
破壊試験
破壊試験状況
破壊試験
繰り返し荷重載荷(200万回)試験
繰り返し荷重載荷(200万回)試験状況
繰り返し荷重載荷試験後の実験桁を用いた破壊試験
ジョイントレス構造
(パラペットレス)